映画化決定の超短編最恐ホラー小説 背筋「口に関するアンケート」を紹介・レビュー※微ネタバレ含む|深淵の記録:7
みなさま、ようこそ深淵境界線へ。
案内人のフチと申します。
今回お見せする深淵は小説「口に関するアンケート」です。
定価605円、全63P、かつ11.5cmx 8.5cmという胸ポケットにもしまえるサイズ感ながらその怖さはサイズから感じるものをはるかに超えています。
さらに、2026年7月3日(金)より板垣李光人氏主演での実写映画化も決まっており、ますます注目を浴びている今作、是非ともこの機会にお読みいただきたい作品となっています。
- 「口に関するアンケート」とはどのような小説か
- 著者:背筋氏のプロフィール、他作品にはなにがあるか
- 「口に関するアンケート」と共におすすめできる作品
「口に関するアンケート」とは
- タイトル:「口に関するアンケート」
- 著者:背筋
- 発売日:2024年9月4日
- 出版社:ポプラ社
- サイズ:縦115ミリ×横85ミリ
- ページ数:63ページ
- 価格:定価 605円(税込み)
「近畿地方のある場所について」で有名な背筋氏の第3作目の書籍です。
宝島社による、「このホラーがすごい!」2025年版にて国内編4位を獲得しており、初版3万部はたちまち増刷され、現在累計32万部を超えるベストセラーとなりました。
「口に関するアンケート」のあらすじ
心霊スポットとされる墓地で肝試しを行う大学生4人。そのうちの1人が翌日失踪してしまう。
後にその場所を訪れて怪奇現象に出くわしたオカルト研究会の大学生2人も、その事件に関わることとなり、失踪者を除く5名それぞれの証言を展開していく形で物語が始まる。
「口に関するアンケート」の感想・見どころ
※以下、ややネタバレを含みます。
もはやタイパを求める現代への警笛ともいえる恐怖短編小説
昨今の現代社会では何かとタイパ(タイムパフォーマンス、時短化)を重要視する傾向が強まっていると感じる場面もありますが、それに対しての逆行ではな
また、作品の結末を知ったうえで、上記の違和感の正体を読み返して確認できるボリュームであるので何度読んでも発見があるのが素晴らしいです。
作品の中に感じる違和感は最後までそのままで一気に回収される怖さ
本作を読んでいると自ずと以下の2つの違和感を感じます。
- そもそもなぜ証言のみの形式なのか、各証言の先頭の拡張子は何か
- 証言の終わり側でグラデーションのように色が変わっていくのはなにか
①の違和感はそもそもの構成に対して感じるものですが、この証言は【201908262310.m4a】や【201908262319.m4a】というファイルになっており、これはiPhoneやiPad特有の音声ファイルの拡張子となっています。
そして②の違和感について、これが何を表しているのか、私自身もわからないまま最後まで拝見していました。
しかし、こちらは最後のページを読んだ瞬間に一気に回収されて、その時に瞬間最大風速で恐怖が体を駆け巡る感覚があります。
わずか63Pの作品にここまでの感覚を覚えることは他にはないでしょう…。
映画化にあたってこの短編がどのように表現されるかという期待がある
2026年7月3日(金)に映画作品化が決定していますが、このボリュームの作品を映画化するにあたってどのように表現されるのかという期待は、本作を読んだ人にしか感じられない特権です。
著者:背筋のプロフィール
- 名前:背筋(せすじ)
- 経歴:2023年1月に小説投稿サイト「カクヨム」にてネット版「近畿地方のある場所について」を投稿し話題に。同年8月に書籍化し小説家デビューを果たす。
同作は2024年「このホラーがすごい!」国内編1位を獲得し、ホラー作家としての地位を確立。
ホラーゲーム「SIREN」のシナリオライター佐藤直子、映像監督の西山将貴とともにホラーユニット「バミューダ3」を結成し、2025年夏には世紀末を題材にした体験型展示イベントである「1999展 -存在しないあの日の記憶-」を開催し、これも大きな話題を呼んだ。
著者:背筋の別作品
「近畿地方のある場所について」/KADOKAWA(2023年)
背筋氏のデビュー作にして一躍ホラー界を席巻した代表作です。
雑誌編集者をしている著者「私(背筋)」の友人である若手ライターの小沢が突然行方をくらませた。
彼はどうやら新しい記事の題材にとある場所にまつわる内容を調べていたらしい。そこは「近畿地方のある場所」とまでしかわからないが、彼の残した情報を手掛かりに調査を行い、それを公開することでこれを読んでいる読者から情報を提供してもらえる、ゆくゆくは彼の行方を掴めるのではないかと考えた「私」。調査を行う中で様々な事件や情報が結びついてゆき、そして「近畿地方のある場所」がどこにあるのかが徐々に明らかになっていく。
しかし、その進む先で直面する恐ろしい事実。
そして物語の結末を、知った時に著者と読者が目にするものとは一体⋯。
2020年代のモキュメンタリ―ホラー作品としての最高傑作のひとつとしてもあげられる傑作です。
是非とも、巧妙に張り巡らされた仕掛けと衝撃の真相を目の当たりにして、恐怖を感じていただきたいです。
本作も2025年に劇場映画化されて大きな話題となりました。
「穢れた聖地巡礼について」/KADOKAWA:
背筋による二作目の単行本版作品です。
あらすじ
ふとしたことで仕事をともにする心霊系YouTuberとフリーライターの間でとある心霊スポット(聖地)を舞台に起こる怪奇と暴かれる過去の惨劇の行く末とは…。
「近畿地方のある場所について」同様に、土地や場所を舞台にした作品であるが、モキュメンタリ―ホラー作品の前作とは異なり、物語作品としてまた違う楽しみ方で読めるホラー小説となっています。
「口に関するアンケート」と併せておすすめしたい作品はこちら
著:吉田悠軌、川奈まり子「京王沿線怪談」/竹書房怪談文庫(2025年)
実は怪談収集家としても有名な作家吉田悠軌氏と怪談コラムニストである川奈まり子氏の共作です。
タイトルの通り、京王沿線の駅にまつわる短編の実話怪談をまとめ
著:背筋、平山夢明「最恐ホラー 呪われた図書館」/講談社(2026年)
背筋氏が平山夢明氏との合作で、お互いに「図書館」をテーマにした短編集が収録されている作品です。
こちらも全編64ページと短編の作品となっているので、短時間で背筋氏と平山夢明氏の世界観を味わいたい方は必読の一冊です。
それでは、本日の深淵の案内はここまで。
無事に深淵の境界線から現実に戻って来れましたね。
ただし、深淵を覗くときまた、深淵もこちらを覗いているのです。
また、この場所でお待ちしております…。




