みなさま、ようこそ深淵境界線へ。

案内人のフチと申します。

今回お見せする深淵は、アンソロジーホラー短編集「呪いの☒☒」です。

ベテラン作家から新進気鋭の若手作家まで、豪華ホラー作家6名がすべての作品で日常に潜む「呪い」をテーマにしたアンソロジー作品となっています。

フチ
フチ
この一冊に各作家の持ち味、良さがすごく詰まっていますので気になる作家がいれば一読の価値ありです。

このアーカイブを読むとわかること

  • 「呪いの☒☒」とはどのような小説か
  • この小説「呪いの☒☒」がオススメな人
  • 「呪いの☒☒」の各作家陣の代表作品

それではともに深淵を覗いていきましょう。

呪いの☒☒」とは

  • タイトル:「呪いの☒☒
  • 著者:三津田信三 , 澤村伊智 , 芦花公園 , 背筋 , 北沢陶 , 上條一輝
  • 発売日:2026年4月9日
  • 出版社:幻冬舎
  • サイズ:文庫本
  • ページ数:314ページ
  • 価格:定価 858円(税込み)

呪いの☒☒」がオススメなのはこんな人

本作はこのような方にオススメです。

  • ベテランから若手まで有名作家の作品をたくさん読みたい方
  • 短編で一気に作品を読みたい方
  • 日常に潜むリアルな恐怖を楽しみたい方

本作は何といっても6名のホラー作家の個性が色濃く出ているのが特徴です。

短編でサクッと、でも各作家の個性が出た作品をしっかりと楽しみたいなら非常にオススメな作品です。

そして、どの作品も自分の日常に身近にあるテーマなのでリアリティのある恐怖を味わいたい、という方も是非ご一読いただきたいです。

呪いの☒☒」のあらすじ

こちらで6作品のうちいくつかをピックアップしてあらすじを紹介いたします。

第1章「呪いは明るく輝いて」著:上条一輝

愛する地元で市役所職員として働く有原は、その地域で多発するEV車の交通事故や市外地への転出者がの増加に悩まされていた。街の中で次々起こる異変に頭を悩ませつつも仕事に勤しむある日、大きな県道沿いや大型モールの飲食店が多く閉店していることや隣家の突然の引っ越し作業をしているところを目撃し、街に起きている異変がさらに浮き彫りになっていく。どうにかできないかを考える有原は、ふと市役所に押し掛けていた街に起きる異変を予測していた男の存在を思い出し、そのもとを訪ねる…

 

第2章「呪いの交換日記」著: 北沢陶

交換日記をしている中学の同級生である未奈、小百合、結子。
それぞれ演劇部、タロット、イラストをその日記に綴っていた。新しいノートで交換日記を開始すると、小百合の文章には謎の文章が、結子のイラストには描いていない部分が勝手に増えている異変に遭遇。
そんな中教師に交換日記が没収されるが、その教師は次の日に交通事故に遭遇。
小百合はこのノートには何かの念が込められていると感じると言うが、このノートには一体何が…。

 

第3章「ほらあな」著: 澤村伊智

大学時代の友人との飲み会後に酔いから覚めた主人公は知らない一室にいることに気づく。飲み会で再開した友人の細田がそこに現れ、ここは「ほらあな」という古本屋であると教えられる。その飲み会以降関係が再開した細田と夜な夜などこかに行っていることを細田の妻から相談され、探っていくと細田は毎日のようにその「ほらあな」に向かっては本を購入して、それをそのまま自宅のゴミ捨て場に捨てる姿があった。
一体、何のために「ほらあな」に何を目的で向かっているのか。そしてこの場所には一体何が隠されているのか…

収録されている作品はどれも「何か(☒☒)」にまつわる「呪い」を題材にしています。

第1章では街に広がっている「☒☒」(ネタバレを含むためここでは伏字)、第2章は文字通り交換日記で使われている「ノート」、そして第3章では「古本」が題材となっています。

この他の短編も、この「呪い」の対象がそれぞれの作者により設定されたものとなっています。

フチ
フチ
ノート、古本などはあなたにとっても非常に身近な存在なのではないでしょうか…

呪いの☒☒」の感想・見どころ

※以下、ややネタバレを含みます。

豪華作家陣6人それぞれの「呪い」の感性

本作はなんといってもベテランから若手のホラー作家6名が一同に介してそれぞれの思う「呪い」をテーマに最恐の作品が集まっていることです。

全く異なる題材もあれば、近しいと感じる題材もある、しかし近しいのは題材であってそこに向けた視点や考え方はしっかりと異なる、各作家の思う「呪いの☒☒」、その☒☒に一体何が当てはまるのでしょうか。

フチ
フチ
そして、あなたなら、何に対してどんな「呪い」を感じるのでしょうか…。

短編集だからこそのカジュアルさと情報の凝縮さ

本作はアンソロジー短編集で6作品を314Pという1冊の本にまとめているものです。

つまり、1作品の平均は50P程度(芦花公園の「しばらくゆっくり休んでください」がややP数が多いが構成を考慮すればボリュームは全体で同程度)というコンパクトさです。

1日1作品と決めて読んでも一週間以内で読み終えることが可能です。

長編作品では序盤の伏線が後から回収される、という展開も多く情報の整理に非常に気を遣うこともありますが、本作は伏線やキーワードが短いスパンで押し寄せてくるような展開の作品たちになっています。

また同時に、非常にコンパクトでありながら、それぞれの作品の怖さと結末への考察がしっかりと楽しめる作品となっています。

フチ
フチ
気になってたものの、まだ作品を読んだことがない作家のイメージを知るのにも一役買う1冊でしょう。

☒☒」に対する読み手の捉え方の個性も出る作品である

上記の通り、この作品は各作家陣が「呪い」を好きなテーマで伏字の「☒☒」に盛り込み書き上げるという構成です。

しかし、その6通りの「呪いの☒☒」を1000人が読んだ時に、果たしてひとつの「☒☒」呪いへの解釈もそのまま6通りなのかというと、答えは否です。
1000人が6通りを見た時、それが100通り、1000通り、もしかしたら全員異なる6000通かもしれないのです。

呪い」とは、固定概念的にこういう状況しかありえないというものではなく、人によってより近くに、日常の中に溶け込んでいるものにあるものなのです。

フチ
フチ
その思考を植え付けることこそがこの作品が読者にかける「呪い」なのかもしれませんね…

「呪いの☒☒」参加作家陣の他作品を紹介

ここからは、「呪いの☒☒」に参加されている作家陣の代表作を1冊ずつご紹介します。

「呪いの☒☒」を読んで、この人の作品を見たい、と思ったらまず読むべき作品をご紹介するので是非、参考にしていただければ幸いです。

フチ
フチ
紹介は本作の掲載順とさせていただきます。

著:上條一輝「深淵のテレパス」/角川ホラー文庫(2024年)

「このホラーがすごい!2025年」にて1位を獲得した、ミステリーホラー超新鋭の上條一輝氏のデビュー作品。

超常現象に相対し、それを調査する芦屋晴子と越野草太の物語で超常現象を謎として捉え、解決に向かうまでのプロセスはただのホラーだけでなく推理ものの要素も強く、ミステリーが好きな方にも強くお勧めできる作品となっています。

著:北沢陶「をんごく」/KADOKAWA(2023年)

第43回横溝正史ミステリ&ホラー大賞にて史上初の三冠を受賞した北沢陶(きたざわとう)氏のデビュー作。

大正時代を舞台に、妻の死を受け入れられずにいる主人公の男が降霊させた禍々しい妻の姿と、自身の家系の謎とが交差するミステリーホラー作品となっています。

フチ
フチ
ただただ怖いだけではない、もの悲しさや切なさも併せ持った作品です。

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著:澤村伊智「ぼぎわんが、来る」/KADOKAWA(2015年)

22回日本ホラー小説大賞の大賞を受賞した、澤村伊智氏のデビュー作であり、「比嘉姉妹シリーズ」の第1作目の作品です。

田原秀樹という男の下に現れた謎の来訪者が生誕前の娘・知紗の名前を突然告げ、それ以降田原の周囲で続く不審な出来事を解決するために比嘉真琴という女性霊媒師が奔走するという怪異との戦いをテーマにしたホラー作品です。

2018年には岡田准一を主演に迎えて「来る」のタイトルで劇場映画化もされて話題になった作品です。

フチ
フチ
澤村伊智氏の作品を読むならまずはこちらを是非。

著:背筋「近畿地方のある場所について」/KADOKAWA(2023年)

背筋氏のデビュー作にして代表作であるモキュメンタリ―ホラー作品です。

2024年版「このホラーがすごい!」国内編1位を獲得していることからもわかるように非常に評価が高く、2020年代のモキュメンタリー(フェイクドキュメンタリー)ホラーの傑作のひとつであると言えます。

是非とも、巧妙に張り巡らされた仕掛けと衝撃の真相を目の当たりにして、恐怖を感じていただきたいです。

著:三津田信三「禍家(まがや)」/角川ホラー文庫(2013年)

ミステリー&ホラー界の重鎮の三津田信三氏による家シリーズの第一弾の作品です。

民俗学や因習。土着信仰、それに紐づく土地に関する作品を多く書かれており、作品への考察、推理を含めて没入感と恐怖感を強く感じたい方は是非とも読んでいただきたい作品です。

全3作品でそれぞれの話での「家」の恐怖を体感ください…。

著:芦花公園「ほねがらみ」/幻冬舎(2021年)

WEB小説投稿サイトの「カクヨム」で投稿され話題となり、2021年4月に幻冬舎より出版でデビューを果たした芦花公園氏によるモキュメンタリ―ホラー作品です。

小説ではありますが、レポート記事や実際の人との会話を記録したものがまとめられているような体裁をとっていることで、読者もその記録を追体験するような感覚で読むことができる作品です。

これは著者も話されている通り、三津田信三氏の作風に大きな影響を受けていることがわかりますので、三津田氏の作品のファンの方はもちろんオススメできる一冊となっています。

それでは、本日の深淵の案内はここまで。

無事に深淵の境界線から現実に戻って来れましたね。

ただし、深淵を覗くときまた、深淵もこちらを覗いているのです。

フチ
フチ
決して飲み込まれて、境界線を越えないようにお気を付けください。

また、この場所でお待ちしております…。

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深淵境界線の案内人をしているフチと申します。 皆様をこの場所から深淵を覗く手助けをさせていただきます。